夏の終わり

夏の終わり
本当に終わりなのか
いや、もう既に終わっていたのかもしれない

8月の末というのはそんな季節だ


8月中頃、実家に帰省した

向島の朝
蝉の声も、鳥の声も、風の音も
全てがはっきりと在るべき方向から捉えられる
ゆっくりと、空を眺める

本土へ
夕焼けにじわりと汗を滲ませて
ただ思いつくままに小道を抜ける
そんな風にしたっていつかいつもの道に出ることを知っている

気がつけばとっぷりと日も暮れている
ざわついていた心をなだらかにする
瀬戸の海が、夜の闇に揺れる


夏が過ぎていく


関東へ戻り、足柄花火大会で演奏をした
世界一の口笛吹、柴田晶子さんの演奏は
やはり圧巻で、綺麗な音色が自然に溶けていった
夕暮れ時から始まったライブはゆっくりと夜におちて
美しい月も輝いていた

ライブ後、帰宅前に我がままを言って花火を見せて頂いた
(本当はすぐに会場を出なければいけなかった)
我がままを言った甲斐ある、大きな大きな花火だった
送りの車内から花火は駅までずっと見えていたし
駅のホームからもしっかりと見ることが出来た


夏が終わっていく


8月31日
夏休みの終わりだった、この季節
この季節にはさよならがよく似合う
そしてまた、新しい秋へ


夏が、終わる。